人的資本における世界的潮流
・1990年代後半から、欧米を中心に知識経営やインテレクチュアル・キャピタルの概念が広まり、人的 資本や社会的資本などの非財務情報の開示が始まる。
・2000年代に入ると、国際会計基準審議会(IASB)や国際統合報告評議会(IIRC)などの国際機関が非財務情報の開示に関するガイドラインを策定し、企業の社会的責任や持続可能性に関する報告が進む。
・2010年代には、日本でも経済産業省や東京証券取引所などが人的資本経営や統合報告書の推進に取り組み、人材育成やダイバーシティなどの人的資本に関する情報の開示が増える。
・2020年代に入り、コロナ禍による働き方や組織の変化に対応するため、人的資本開示の重要性がさらに高まっている。
人的資本開示の義務化へ
・2019年9月、米国証券取引委員会(SEC)が企業の開示事項を見直すと発表し、人材投資の開示に関する法律(H.R. 5930)が提出される。
・2020年8月、SECが企業の開示事項を改正、人的資本に関する情報を必要に応じて開示するよう求める。
・2021年6月、金融庁が人的資本開示の義務化に向けた制度案を公表し、意見募集を行う。
・2022年3月、金融庁が人的資本開示の義務化に関する最終案を公表し、2022年12月期から適用されることが決定する。
日本の人的資本開示義務化
日本の人的資本開示義務化とは、企業が人材に関する情報を社外に公表することを義務付ける制度です。2022年8月30日、内閣官房は人的資本開示のあり方をまとめた「人的資本可視化指針」を策定し、そこで「開示が望ましい19項目」を挙げました。
これらの項目は、従業員の採用や育成、働き方や組織文化などの人材戦略に関するもので、企業の特性や状況に応じて選択的に開示することが求められています。人的資本開示義務化は、2023年3月期から対象となる上場企業に適用される予定です。